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高森明勅
2016.7.26 02:00

「生前退位」を巡る週刊誌の記事から

天皇陛下の「譲位」のご意向を巡り、週刊誌に識者の発言が
取り上げられている。

いくつか紹介しておく。

宗教学者の山折哲雄氏
「こんどの天皇の『生前退位』の問題が、伝統ある大嘗祭
(だいじょうさい)
という儀礼のあり方とどのようにかかわるのか、
重要な課題であるといわなければならないだろう」。

同氏はどうやら、大嘗祭について殆ど何の勉強もしないで、
全く思い付きで言及されているようだ。
天皇の皇位継承に伴う重大な国家的祭儀である大嘗祭を理解するには、
言う迄もなくその伝統的な在り方を知る必要がある。

その為には、平安時代の法令集『延喜式』が最も基礎的な史料。
その巻第7、第1条には以下のような規定が。

天皇が7月以前に即位されたら、その年に大嘗祭を行い、
8月以後に即位された場合は翌年に行う、と。
但し、
これは通常の譲位つまり「生前退位」による即位の場合で、
例外的”に先代の天皇が亡くなった後の即位の場合は、行う時期が
異なる、との注記が付け加えられている(
やはり基礎史料の貞観
『儀式』等にも同じ規定)。

その場合は当然ながら、先帝の崩御(ほうぎょ)に伴う
諒闇(
りょうあん、天皇が喪に服される期間)が明けてから、
大嘗祭が行われる。

要するに、「伝統ある大嘗祭」はもともと「生前退位」を
前提に行われていた。

なのに、ことさら「どのようにかかわるのか、重要な課題である」など
と深刻ぶっている。

大嘗祭を語りながら『延喜式』すら読んでいない人は、
初めて見たかも。

東京大学名誉教授の北村唯一氏
「あくまでも摂政のような形で、
皇太子殿下に半分程度の公務を
引き受けてもらうのが良いのではな
いでしょうか」。

陛下の国事行為やご公務を他者が“引き受ける”のは制度上、
摂政の設置か国事行為の臨時代行しかない。
だが、
どちらも「半分程度」ではなく、全て代行される。

陛下は、ご自身が天皇の地位に留まりながら、
「半分程度」を“非公式”
に皇太子殿下に「引き受けてもらう」
ようなことは、
決してなさりたくない、とのお考えと拝される。

だからこそ、退位を望んでおられる。

それが分からないのか。

京都産業大学名誉教授の所功氏
「(皇室典範の改正は)
一番よいと思われるのは皇室会議に
諮ることです。…
皇室会議で議論し1つにまとめた考えを政府に
提案するというプロ
セスを踏めば、国会の審議で合意が得られやすい
と思われます」。

だが残念ながら、皇室会議に
は典範改正を「議論」したり、
それを「政府に提案する」
法的権限が“ない”。

もしそのような「プロセス」を実現しようとすれば、
その“前”に典範そのものを改正するか、
何らかの新たな立法が必要。

日本大学教授の古川隆久氏
「(今の典範に譲位の規定がないのは)明治憲法制定の際、旧典範に
天皇より上の地位を作らない』と定めたことの名残です」。

前近代において退位された天皇は「太上(だいじょう)天皇」
の地位に
就かれた。
だが、
太上天皇が政治権力の面で天皇を上回った時期はあっても、
国家の公的秩序で「天皇より上の地位」に位置付けられることは、
決してなかった。

伊藤博文の『皇室典範義解(ぎかい)』には、旧典範に譲位を排した
理由として、「権臣(権勢を握った臣下)
ノ強迫」が介在するような
事態を避ける意図が、述べられている。

以下お2方のご発言には傾聴すべきだろう。

陛下と学習院高等科までご一緒だった明石元紹氏
「皇太子さまも、
陛下が即位した年齢を既に超えておられます。
摂政をおけばいい』という意見もあるようですが、陛下としては、
ハッキリとしない形は嫌で、退位、譲位という形を望まれているのかも
しれません」。

ユーラシア21研究所理事長の吹浦忠正氏
私が陛下にお目にかかるたびに一貫して感じるのは、
“私(
わたくし)”のことを考えず“公(おおやけ)”に奉仕されよう
とする精神です。
今回の『生前退位のご意向』
についても、やはりそこには“公のため”
というお気持ちが集約されておられるのだと思います」。

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第57回ゴー宣道場・第2回関西ゴー宣道場

「おそるべき天皇 生前退位の真相」

平成28年8月7日(日)午後1時 から
『大阪研修センター 江坂』 にて開催します。

「大阪研修センター 江坂」
(住所:大阪府吹田市江坂町1-13-41 SRビル江坂 )は、
JR新大阪駅から地下鉄御堂筋線で4分、
または地下鉄梅田駅より9分、
地下鉄御堂筋線『江坂駅』 から徒歩1分です。
(「1番出口」から出て、そのまま北へ直進)


会場のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要

詳しくは、 “ こちら ” でどうぞ。

当日、道場の入場料は、お一人様1000円です。


参加ご希望の方は、このweb上の申し込みフォームから申し込み可能です
絵文字:重要絵文字:パソコン

上 ↑ のメニュー「道場参加申し込み」もしくは下 ↓ の申し込みフォームバナー(画像)
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「申し込み確認メール」が届かない場合、当選メールも届かない可能性がありますので、
ご注意ください絵文字:重要


申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。
プリントアウトができない方は、当選メールの受信が確認できるもの
(携帯電話、タブレット等)をお持ちの上、ご来場ください。

 道場参加申し込みフォーム

応募〆切 は 平成28年7/27(水) です。

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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